BAR VERABO
ベラボーの仕事場
 無知な夢 / 夜のとばり /
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2月15日
外は相変わらず、どんよりしています、雪でも降るのでしょうか?お父様の容体が思わしくないと聞き手紙を認めております、思えば長くも短いお付き合いでした、夢とはこうも虚しいものなのでしょうか?月日は秒単位で刻まれ、四季は寝返りのごとくやってくる!僕はいつまでも、貴方の側にここで、こうしていたかったのです
3月28日
あなたがくわえていた煙草は今日でとうとう全部灰になりました、外はとても良い天気です!いつか見た青い空は今も輝いております、早く元気になってください、またあの時のように一家水入らずで高尾山に出かけましょう!あなたの故郷、東京はもうすぐ春ですよ!
6月3日
いつまで夢を見ているのですか?返事の無い手紙には不安が募るばかりです、思えば僕はあなたの産物でもあるわけで、誰にも問いかけることは出来ない様な気はしますが、さよならを言う前にどうか目を覚ましてください、僕はあなたのそばでいつも見守っているのですから、
9月30日
秋の風の吹く頃、忙しい地球を離れ、僕はもとの世界へ旅立ちます、きっとこの手紙が着く頃には遠い宇宙の星にいることでしょう、無知の世界はここから、始まるのです、天国まではもう少しです、長い長い旅でしたね、それでは、命のつきる時まで、お元気で、さ、よ、お、な、ら、
お父様へ、
無知より

目を覚ました時、外は一面の星だった、
キラキラと輝く、赤や青、黄色や緑、紫、橙色、、、
とにかく、たくさんの星で埋め尽くされていた、
だが、その星の中にはすでに無知の姿は見あたらなかった・・・